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SNSで人の幸せに惑わされない

あるとき私の友人の40代の女性に、こんなことを言われました。「私はね、ドミニックさんがかつて言っていた『生き生きしたちっちゃなおばあちゃんになる』というのが目標なんです」と。そうなんです、私は毎日楽しんで食事をして、散歩をして、友達と会って話をして、刺激的な本を読んで……、そうやって105歳まで生きたいと思っています。105歳というのは、私の家族は長寿家系で、実際に105歳まで生きた親戚がいるからであって、絵空事ではないんですよ(笑)。

その反対で、一番避けたいのがバーチャルな世界。SNSというのは、多くの人が幸せな部分だけを切り取ってアップしているように思います。それらを見ていると、自分の幸せのためには何が必要か、という選択が分からなくなるんです。だから私は、SNSはもちろん、インターネットもほとんど見ません。たまに、知らない作家さんがいると、その人について調べるくらい。料理レシピを検索していた時期もありましたが、それを見て天ぷらを作ったものの、私の実力ではたいして美味しくできなかったのでやめました(笑)。

もちろん、SNSを否定するつもりはまったくありません。それを必要としている人は、上手く使えばいいと思います。でも多くの人は、皆が見ているから、流行に置いていかれそうだから、と何となく見ているのではないでしょうか。そんな人は是非一度、「おばあちゃんになったとき、どういう人間になっていたいか」と想像してみてください。私はおばあちゃんになったら、必要なものが全部詰まった愛用の小さいバッグだけ持って死にたい、というのが理想です。このように想像すれば、SNS然り、本当にいるものといらないものが見えてラクになれると思いますよ。人生はあっという間に終わるのですから、ムダなことに時間を費やしている暇はない、私はそう考えているのです。


ドミニック・ローホー
著述家。フランス生まれ。ソルボンヌ大学で修士号を取得し、イギリス、アメリカ、日本の大学で教鞭を取る。様々な国に移り住む中で、モノを持たず豊かに暮らす「シンプルライフ」を確立。それを本にまとめた(講談社+α文庫)がベストセラーに。他に、(ともに講談社)など著書多数。また禅寺や墨絵を通して日本の精神文化に理解が深いことでも知られる。


第一回「完璧主義ではなく快楽主義を目指す」はこちら>>
第二回「良いものは高いものとは限らない」はこちら>>
第三回「「少ない」「小さい」は快適だと知る」はこちら>>
第四回「「ノーセカンドチョイス」と「ワンアクション」が豊かな時間を生む」はこちら>>
第五回「バードウォッチングならぬバッグウォッチング」はこちら>>

第六回「五感を磨く」はこちら>>
第七回「ルール化することでムダを省く」はこちら>>
第八回「料理は3分でできるもので十分」はこちら>>

第九回「重荷になっている人間関係は「透明人間」で乗り切る」はこちら>>

 

新刊コラム●
ドミニック・ローホー 著 赤松梨恵 訳

自分にとっての理想のバッグを見つけることは、自分がどう生きたいかを見つけることでもある——。大ベストセラー(講談社+α文庫)で知られるドミニック・ローホーさんの最新刊は、人生を豊かにするために欠かせないアイテムであるバッグ選びについて説いたもの。本当に必要なバッグの数、バッグの中身の整理の仕方、そしてそこから身も心も軽く生きる秘訣まで教えてくれています。これを読めば、究極のバッグだけでなく、自分らしい幸せもきっと見つけられるはず! ¥1100/講談社


取材・文/山本奈緒子 構成・写真/大森葉子(編集部)