nomuchanさんからの質問
Q.
幼い頃から不仲の両親。
それぞれが一人娘の私に依存してきて重くてたまりません。

離れて暮らす70代の両親は、子供の頃から激しく不仲で現在も家庭内別居状態です。母は「離婚しないのは娘のため」と、精神的に私に依存し、父の文句ばかり。父は今で言うモラハラ夫で、意に沿わないと物を投げたり母を叩いたり。私はその環境が地獄で、遠方の大学に進学し、そのまま結婚。今はフルタイムで働きながら二人の子育て中です。両親の収入は、年金+父のアルバイト(喫茶店の手伝い)ですが、父は退職金、アルバイト代を母に渡しません。母も「自分名義の通帳は私に預かってほしい、死んだら父とお墓に入れないで」と頼んできていて、重荷です。父は計画性がなく好きにお金を使い、介護も娘がやってくれると思っているよう。なぜ両親のこんなことで悩まないといけないのか、いつになったら私は解放されるのか。私にはきょうだいがおらず、お金(老後の資金)やお墓、祖父名義のままの実家をどうするのか、介護は……など不安が溢れます。具体的に対策はあるのでしょうか。(42歳)

特別ゲスト 金子稚子さんの回答
A.
苦しさと表裏一体の幸せというものもある。
それに気づけるのがCasa-planta世代だと思います。

大変お辛いだろうな……と、拝読していて感じました。なぜならこれは完全にご両親の問題で、nomuchanさんの問題ではないからです。

そこでまずは、物理的な部分からお答えさせていただきますね。お金や祖父名義のご実家ですが、相続時に相続放棄されればいいと思いますよ。そうすればご両親が万が一借金を遺しても、それを背負う必要はありませんから。ただ家の場合は、所有権は放棄できても、家を壊したり更地にしたりといったことは被相続者がしなければならないはずです。つまりお金がかかります。私は専門家ではないため詳しいことをお答えできなくて申し訳ありませんが、一度、役所などに相談して、情報を得ておくと良いかと思います。

またお墓も、墓守りをされるのがお嫌でしたら、墓じまいをするという手もあります。もちろん魂を抜いて墓石を撤去して……という手続きが発生しますので、これもお金がかかります。「数百万円かかってしまった」という話を耳にしたこともあること、お伝えしておきますね。

このように、物理的なことは探せば解決策はいくつか見つかることでしょう。ですが一番の問題は、nomuchanさんが今抱えている重たい気持ちだと思います。独立して子供もいる娘に対するお母さまの「離婚しないのは娘のため」という発言。大変失礼ですが、第三者の私からすると、完全な詭弁に思えます。そこでご提案したいのですが、ご両親とは“心の中で縁を切る”のはいかがでしょうか? 連絡がきても対応せず、nomuchanさんがお嫌なら介護も別にしなくていい。そう決めるだけでも、腹が据わってくると思います。

もちろん、自分を犠牲にしてご両親に対応し続けるのもいいでしょう。あるいは私が提案させていただいたように、縁を切ってもかまいません。nomuchanさんの人生ですから、ご自身が納得いく道を選択してください。でも、どちらを選んでも後悔は残ります。完全にスッキリということはあり得ないのです。

ただ人生というのは、失われるものもありますが、同時に得るものも必ずあると思うのです。何かを失ったときに人は、苦しみや悲しみだけに目がいってしまいますが、決してそれだけではありません。私は夫を失って、立ち直れる日がくるのだろうかというほど苦しみましたが、やがて、苦しさの持つ表裏一体の幸せ、といったようなものを感じるようになりました。そしてそれは、とても味わい深いものなのです。終活ジャーナリストという仕事をしていますと、けっこうな年齢になってもご両親が健在でお金もあって何の苦労もない、という方に出会うこともあります。でも果たしてその人が幸せなのかというと……、「私は夫を失ったからこそ得られたものがあるけれど、この方はそれを知らないんだなあ」と思うこともあるのですよ。

Casa-planta世代というのは、そういった「含みのある幸せ」「奥深い幸せ」の存在に気づく訓練がスタートしている世代でもあると思うのです。子供でも理解できる幸せは、まだ幸せの浅い部分でしかないのかもしれません。ですからnomuchanさんも、どうか自分自身の力で腹を括ってください。解放されるのを待つのではなく、自分で自分を解放するのです! そうすればまた別の道が開かれてきます。

一点の曇りもない環境のもと、「私はハッピー♪」と思えるのは10代までです。そうではなく苦みも痛みも見知ったうえで、それでも「私は幸せだ」と言える、そんな自分になりたいものですよね。

いかがですか?
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PROFILE
  • 金子稚子(かねこわかこ)1967年生まれ。終活ジャーナリスト。終活ナビゲーター。一般社団法人日本医療コーディネーター協会顧問。雑誌、書籍の編集者、広告制作ディレクターの経験を生かし、死の前後に関わるあらゆる情報提供やサポートをおこなう「ライフ・ターミナル・ネットワーク」という活動を創設、代表を務めている。また、医療関係や宗教関係、葬儀関係、生命保険などの各種団体・企業や一般向けにも研修や講演活動もおこなっている。2012年に他界した流通ジャーナリストの金子哲雄氏の妻であり、著書に、、など。編集・執筆協力にがある。 この人の回答一覧を見る
  • 山本 奈緒子1972年生まれ。6年間の会社員生活を経て、フリーライターに。『with』や『VOCE』といった女性誌の他、週刊誌や新聞、WEBマガジンで、インタビュー、女性の生き方、また様々な流行事象分析など、主に“読み物”と言われる分野の記事を手掛ける。 この人の回答一覧を見る