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20歳の私のピアス。
44歳の私のロングネックレス

ずっと心に引っかかっている美しいもの、今でも背中を押してくれる愛おしいもの。「もの」をフィーチャーし、それぞれが大切に持っている、「もの」と「人」をつなぐストーリーを紹介します。

 

今から24年前。20歳の誕生日を迎える前、母が言いました「一緒に銀座に行こう」。長く専業主婦で、私を含む3人の娘の子育てに忙殺された母と、2人きりの時間を過ごしたこともなかったので、それはとても意外な誘いでした。高校時代に1年留学していたのもあったのか、恥ずかしながら、私の反抗期はとても遅く。ちょうどその20歳頃。ストレスや鬱憤をときに母にぶつけることや、感謝や愛情を素直に表現できず、うつうつとしていたような気がします。私が高校生になったときには自分で事業もスタートさせていて、精神的にとても自立していた母とのコミュニケーションの取り方がわからなかったというのも、もしかしたらあったのかもしれません。干渉し過ぎず、個性とやりたいことを尊重してくれる、今では理想の母なのですが、当時の私はまだまだ子供だったんでしょうね。

ある日曜日、2人で出かけた先は、銀座のミキモト本店。「20歳の誕生には真珠を、と思っていたから」と母。アメリカ留学中に開けたピアスホールには、いつもジャンクなピアスをしていたからか、「ピアスを買いましょう」。プライスに怯んだ反抗期ただ中の私は、「こんなに払うなら現金が欲しい」と、上品な女性スタッフの前で一言。もちろん、あまりそういうことに驚かない母は、「お金はすぐに消えます。このパールのピアスは、将来もしあなたが女の子を生むことになったら、その子にも継いでいけるものだから」と、さっさとあるピアスを指さしています。アコヤ真珠の6.0mm。海に愛情深く抱かれ、たくさんの奇跡の積み重ねで生まれた有機的な「丸」。甘いミルクのような、乳白色。耳元にそっとあてて頂くと、横顔が変わりました。尖りや警戒心がとれて、なんとなく優しく無邪気な感じ。その心の変化を逃さない母は、次の瞬間、美しい1つのピアスを「20歳の誕生日プレゼント」に決定したのでした。

そして今、そのときの予言めいた言葉通り、2人の娘にさまざまな宝物を継いでいこうと思っています。この6mmのパールは、長女の日南子に。悲しい思いや、喜びや――さまざまな思いや感情を一番シェアした彼女が、4年後20歳を迎えるときに贈ろうと思います。そして今、44歳の私を託したいのは、約120cmのネックレス。6~6.5mmのパールの粒やテリ、さらにドラマティックなラインを描くように配置された、超ロングネックレス。1連でストールのようにカジュアルに。2連にして華やかに。さらに3連にすればクラシックにもつけられるこのネックレスを、いつかの自分の誕生日プレゼントにしようと思っています。

ネックレス[約120cm アコヤ真珠×WGK18] ¥810000(税別)/ミキモト お問い合わせ先/ミキモト カスタマーズ・サービスセンター tel. 0120-868-254