体が欲しているものは何かを知り、うまく摂取することが大切

心身ともに健やかな印象のあるアンミカさんですが、意外なことに三十代まではずっと体が弱かったそう。
「ちょっと無理をすると扁桃腺がはれて月に一度は高熱を出し、年に二回は髄膜炎になって入院してしまう。プロ意識が足りないといわれ、体調には気を付けているのになぜだろう? と思っていました。今思えば、自分の体質をしっかり理解していなかったんですね。しかも30代の半ばには甲状腺を患って、何時間寝ても疲れがとれないような体調が続いていたんです」

アン ミカ 韓国出身、日本育ちのモデル、タレント。93年にパリコレに初参加後、モデル業以外にもテレビ、ラジオ、映画への出演、エッセイ執筆や講演、シンガーなど多方面で活躍。著書に『』(双葉社)『』(大和書房)『』(双葉社)などがある。

そこで漢方の力を借り、体質改善をすることに。本格的な勉強をはじめ、漢方養成指導士の資格も取得しました。
「体が欲しているものは何かを知り、うまく摂取していくことの必要性を学びました。情報が多い時代なので取捨選択が難しいと思いますが、人それぞれ体質が違うのだから、まずは自分を知ることが大事。今は遺伝子テストもあるので、活用してほしいですね。私もテストを受けて体質に合わないと知った人工甘味料をやめ、ずっと悩んでいたアレルギーから解放されたんですよ」

体は魂の箱――ぜひ大切に労ってあげてほしい

自分の体を把握し、手をかけてあげるのは、昨日よりも今日、気持ちよく、楽に生きるため。
「私たち“未病”の世代ですものね。病気ではないけれど肩がこるとか、何となく頭が痛いとか……。症状が出ると何でもホルモンのせいにされがちな世代でもありますが、原因はそればかりじゃないと思うんです。体は魂の箱。ぜひ大切にお手入れをして、労わってあげてください。もしも病気になってしまったら生活習慣のシグナルと捉えて、うまくつきあっていくのが理想です」

 

なんとなくフィットしないことの理由をきちんと探って“自分を知る”ことは、ファッションやメイクにも通じるキーワードといえるかもしれません。
「昔の成功体験にしがみつかないことも大事だと思います。古いたとえですけれど、ワンレン、ボディコンでモテた経験がある人は、なかなかそのスタイルを変えられなかったりしますよね(笑)。もしも黒髪が褒められるのなら、長所を生かしながらヘアスタイルを変えてみる。ボディコンが似合う体型なのであれば、今のデザインに変えてみる。時代に対する柔軟さを持つことも必要です」

人を支配することはできないと知れば、尊重する気持ちが生まれます

そして、豊かな人間関係を育て、ポジティブなメンタルを保つために気をつけているのが、人は自分の思い通りにならないと心得ること。趣味でもある西洋占星術を生かして、「この人はこの星座だから、こういう性格なのね、と納得することも。ホロスコープを学ぶと人間関係が楽しくなりますよ。肝心なのは、相手を変えることで問題を解決しようと考えないことです」と語ります。
「人間関係全般にいえることですが、特に恋愛ではエゴが出るので、相手が思い通りにならないと寂しさや虚無感、不満が大きくなりますよね。でも人を支配することはできないと知れば、尊重する気持ちが生まれます。自分の要求で男性を追いつめてしまう、“どうして○○してくれないの?”はNGワード。恋愛相談を受けていると“彼に連絡しても返事が遅いんです”と不満をいう人も多いのですが、それぞれに都合があるのだと考えてみてください。駅に待ち合わせのための掲示板がある時代を知っている世代なのに、すっかり携帯電話やLINEの便利さに慣れてしまい、私自身、気が短くなっているところも。気をつけなければと思っています」

 

ときめきは薄れるかもしれないけれど、ユーモアは色褪せない

たとえば「うちの旦那様は、つい返事を急いでしまったとき、“忙しいのにごめんねのひとことがないね”と、ちゃんといってくれる人」なのだそう。13年に結婚したアメリカ人実業家のパートナーとは、「何があっても味方でいてくれるだろうなという信頼感があります。親、恋人、親友であり、夫婦なんですよね」と語り、倦怠期知らず。
「旦那様ははじめて会ったときから、まったく嘘のない人。私が“はじめまして~”と高めのトーンであいさつをしたら、“そういうのは、いらないから。成熟しているあなたのままでいいですよ”って。初対面なのにびっくりしますよね(笑)。でもそのときから変わらずずっと、ありのままの自分でいられる関係です。すごく細かいところがあるけれど、おおざっぱな私を叱らずにいてくれて、むしろ感謝しています(笑)。それと、お互いに“ありがとう”が多い夫婦ですね。笑顔でいわれると何でもやってあげたくなる、“ありがとう”は魔法の言葉。いつかときめきは薄れてもユーモアは色褪せないと思うので、お互いに笑顔を忘れずに過ごしていきたいと思っています」

不運だと感じることにも、きっと意味があり、学びの機会になる

結婚してからの大きな変化は、休む勇気を持てるようになったこと。
「キャリアウーマンにありがちな、スケジュールに隙間があると埋めたくなるタイプだったんです(笑)。でも旦那様は葉っぱの色づきで季節の移り変わりを感じたり、のんびりする時間を大事にできる人。知識を得なきゃ、SNSで発信しなきゃ、と色々なことに追われてばかりではなく、たまにはごろごろしている自分に罪悪感を持たずに過ごしてみるのもいいですよ。ひとりだったときにできたことが、夫婦になったからできなくなったと考えるのではなく、新たな価値観が生まれたことを楽しみたい。この視点は仕事や友人関係にも生かせますよね」  

 

失敗も成功も心の栄養にかえて幸せを引き寄せる選択力を培ってきたからこそ、これから年齢を重ねていくことは、まったく怖くないというアンミカさん。
「“自分に起きた出来事”を信頼してみてください。不運だと感じることにも、きっと意味があり、学びの機会なのだと捉えれば、すべては明るく前向きなものになります。視点を変えることで私自身も生きやすくなりましたし、幸せはほかの誰でもない、自分の心が決めること。これから先どんな出来事が起きても、笑顔の種を蒔ける人でありたいと思っています」

撮影/目黒智子 ヘア&メイク/今野真樹 取材・文/細谷美香 構成/大森葉子(編集部)