今年も漫才コンテストがたくさんのドラマを生んだ。歴代のチャンピオンは中川家を皮切りに、チュートリアルやNON STYLEなどそうそうたる顔ぶれがずらりと並ぶ。特に、今や超売れっ子のサンドウィッチマンの芸人人生が、この大会での優勝を機に激変したのは有名な話。そこで、今回の大会で人生が変わりそうな芸人さんに注目してみたい。

「霜降り明星」 ©️2018 M-1GRANDPRIX、©️ABCテレビ/吉本興業

筆頭はもちろん、史上最年少で第14代チャンピオンとなった初出場の〈霜降り明星〉。1992年度生まれ、26歳、結成5年という若手コンビだ。小柄でぽっちゃりしたボケの“せいや”がステージ上を元気いっぱいに動き回り、せいやが「スプーンに反射した小栗旬」と例えた“粗品(そしな)”がキザなポーズをとりながら、予想の斜め上を行くボキャブラリーでツッコミを入れる。歴代チャンピオンでいうならば、せいやにはブラックマヨネーズ・小杉に通じるキャラ的な可愛らしさがあり、粗品にはフットボールアワー・後藤を感じさせるワードセンスとドヤ感がある。美声の持ち主でスマートさのある粗品は未来のバラエティ番組を支える人気MCになる予感がする…!

同じく初出場で6位となったケイダッシュステージ所属の〈トム・ブラウン〉は、今回の決勝進出者で唯一の“非・よしもと”芸人だ。彼らがネタを終えたとき、客席と審査員席が「我々が見たものはなんだったんだろう…?」と、この日一番のざわつきをみせた。審査員の立川志らくに「これからも追いかけますから」と言わせた、得体の知れない気になるニューカマー。深夜番組が似合うネタと風貌が、お茶の間の人気者になるには時間がかかるかもしれないけれど、一度見たら忘れられない他とかぶらない芸風は、お笑い通に熱く支持されそうだ。

「トム・ブラウン」 ©️2018 M-1GRANDPRIX、©️ABCテレビ/吉本興業


M-1では、ネタ以外のトークで爪痕を残すことが実は重要だったりする。その観点での本大会のチャンピオンは、今回がラストイヤー(M-1の出場資格はコンビ結成15年以内)の7位〈スーパーマラドーナ〉だろう。ボケの田中はトークをふられるたびに、「てってれー」とセルフBGMを口ずさんでから「めがね、逆にかけてみました~」「ベルトの位置、変えてみました~」「左右の靴紐、結んでみました~」というボケでクリーンヒットを連発。賞レース特有の重く張り詰めた空気のなかでボケ続ける田中に対し、MCの今田耕司は「勇気…!」と感嘆の声を上げていた。また、敗退が決まったときに、ツッコミの武智が放った「M-1に感謝しています。M-1がなかったら芸人をやれていなかったコンビなので。これからも劇場で、新ネタを作って待ってますので、みなさん見に来てください。M-1、大好きです」という真っ直ぐなコメントは本当に感動的だった。ストイックにお笑いを追求する武智が、まったくやる気も売れる気もない田中のお尻を叩きながら、M-1に出場してきたスーパーマラドーナ。田中はこれでM-1から解放されると嬉しそうだが、今回のトークを機に本人の意に反して忙しくなるかもしれない。

「スーパーマラドーナ」 ©️2018 M-1GRANDPRIX、©️ABCテレビ/吉本興業
 
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