中国の雲南省を旅しています。今回の旅は雲南の北部に地域を絞って巡ります。南国ムードの雲南省南部とは印象が一味も二味も違う北部、チベット文化圏の入り口であるシャングリラから寄り道しながら車を走らせること4時間ほどで、目が覚めるような美しい山々の風景に囲まれます。ハイウェイが開通している部分を走るのはとても快適で走行も順調ですが、古い道のままの最後の數十キロが蛇行続きで大きなトラックに囲まれながらゆっくり進むことになります。途中車両のメンテナンスの為か、どデカい山をバックに愛車を停めて作業していてトラック野郎の姿が、こんな風にやけにかっこよく見えてきます。

 

車窓から見えてくる山々はどこまでも荘厳で迫り来るよう、美しくて目が離せなくなります。光と山々の作り出す光景はなんと力強いのでしょう、深々と恐ろしささえ漂います。近くにあり過ぎて遠近感さえ狂ってくるので、あらゆる次元から解放される感覚、こんな山の姿を見ると山を神として崇める人々の気持ちがしみじみ伝わってくる気がします。4000メートル級の山々に囲まれて生活するこの地の人々は、この山々を前に、自然に対して謙虚にあることの尊さを身を以て感じながら生きているのでしょう。

 

特欽(Dequin)の町までほど近い山間を走っていると、乾いた山肌にポツンとそびえ建つ寺が見えてきます。ここは東竹林寺、修行僧たちの学びの場でもあります

 

寺院の内部には何百体もの菩薩像があり、壁面を埋め尽くす曼荼羅や仏画には圧倒されます。聖域につき撮影禁止、写真を見ていた開けないのは残念なのですが、フォトグラファーの身としては、こういう場合、見ることだけに集中できる貴重な時間でもあります。ありがたいありがたい…

寺院の中の別の棟では、僧侶たちが学び生活しています。そこに近づいていくと、何やら修行僧たちの叫ぶような声とパチンと手を叩く音が聞こえてきます。

中に入ると、丁度問答修行の真っ最中。それぞれの組みで、その勢いに随分と違いがあり、それも見ていて面白いのです。大きなアクションと大声で攻めの質問をしていく僧もいれば、まるでギリシャの哲学者(その様子を見たことはありませんが)が討論しているかのような静やかなムードの組みも見受けます。また、1対1だけでなく、質問者1に対して回答者2の組みもいたり…様々なスタイルで仏教の教えについて問答しているのです。

 

彼らが何を問うてどう答えているのかは理解できないにせよ、エネルギーに満ちたこの中庭の空間での時間は非常に鮮やかに記憶に残ります。僧侶たちは修行を積む間、毎日朝夕二度、この問答修行を行うと言います。一つの道を進むことに終わりはありません。

 

\雲南省はこんなところ/

 

面積 394,100㎢
人口 3885万人
言語 北京語が主
民族 中国で少数民族の数が最も多い(漢族、イ族、ペー族、ナシ族、ハニ族、タイ族など26民族)