監督:アニーシュ・チャガンティ
出演:ジョン・チョー、デブラ・メッシング、ミシェル・ラー、ジョセフ・リー
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント  10月26日(金)よりTOHOシネマズ日本橋ほかにて公開


今回紹介する『search/サーチ』はなんと全編がパソコンの画面だけで構成されているという驚きの作品。しかもアイデア一発勝負! なノリでは終わらず、練りに練られた脚本によって観客を思わず前のめりにさせてしまう上質なサスペンスになっています。

主人公はカリフォルニアの郊外に住むアジア系のシングルファーザー、デビッド。ある朝、前夜に「友人の家で勉強会だから徹夜になるかも」とメッセージを送ってきた16歳の娘、マーゴットと連絡がとれなくなってしまいます。警察に通報したものの手がかりがないまま37時間が経過。デビッドは娘のパソコンにログインして、様々なSNSにアクセスを試みていきます。そこには父の目に写っている快活な娘とはまた違う、別人のようなティーンの姿が見えてきました。

 

『96時間』のリーアム・ニーソンは法律を完全に無視したアクションで娘を救い出そうと奔走していましたが、こちらのパパはひたすら検索、ログイン、検索、ログイン…で、娘の行方を探し出そうと知恵を絞っていきます。クラスメイトとの仲や謎の送金記録、おじとのコミュニケーションなど、知らなかった面が見えてくるたびに疑心暗鬼になっていくデビッド。その過程から浮かび上がってくるのは、コミュニケーションを含めたあらゆる面でパソコンやスマホに頼って生きている現代人のライフスタイルです。

 

人工知能型OSに恋した男の物語『her/世界でひとつの彼女』を観たときにも感じたことですが、好きな映画や音楽、人間関係の悩みごと、次に欲しいと思っている雑貨や本、気になっているニュース、このすべてを知っているのはいつもそばにいる家族でも親しい友人でもなく、もしかすると色々な検索先を知っているパソコンかもしれません。そして、匿名のSNSのほうが自分の本音を明かしやすい、という人も少なくないはずです。『search/サーチ』を見ながら、切羽痛まった状況とはいえこれを家族に全部見られるのはキツイな…、ちょっとしたホラーだわ! と思ってしまいました(笑)。

 

ちなみにこの作品は、アジア系キャストのみで大ヒットを記録した『クレイジー・リッチ!』と同じく、白人のスター俳優が出演していないにも関わらず全米で大ヒット。パソコンのモニターだけで展開されていたことなどすっかり忘れてしまうほどの圧倒的な臨場感を味わえば、異例の大ヒットにも納得してしまうはずです。

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