東京の友人が「今日は信じられないほど快晴!」とつぶやくフェイスブックを見ながら、このあいだの週末は台風25号直撃の韓国・釜山(プサン)で過ごしておりました。「これから上陸するぜ!直撃だぜ!」と言われている、その2日前に、何が悲しくてそんな場所に自らぶっこんでいったのかといえば、20代の頃から通い続けている釜山映画祭が開催されるから。
もはや私のライフワーク、毎年の恒例行事となっている10月の釜山映画祭。朝から晩まで映画を見て、アジアの映画スターたちのレッドカーペットを冷やかし、年に1度リユニオンする仲間たちと飲んで食べて、今日は疲れちゃったなって日にはチムジルパン(韓国サウナ)でデトックスして、汗かいたそばからビールぷはー――てな具合に楽しいことだらけで(取材はしないのかな~???)、気が付けば通い続けて18年。長っ!

釜山映画祭のために作られた映画の殿堂と言う名のメイン会場。右上にせり出してるのが、オープンシネマの天蓋部分です。写真協力/芳井塔子


今年もそんなふうに楽しい、釜山国際映画祭だったのですが。があり、ちょっとした騒動となりました。

きっかけは、これに先立って持ち上がった旭日旗問題(済州島の国際観艦式で韓国側から旭日旗を掲げないよう求められ、拒否した海上自衛隊が護衛艦の派遣を中止)。映画祭でそれについて意見を聞かれた國村さんは、海自の言い分に一定の理解を示しつつ、韓国の心情に寄り添った答えを示しました。これが日本のネットで炎上し、釜山映画祭が「守ることができず申し訳なかった」と國村さんに謝罪したわけです。本当にいろいろモヤモヤするニュースなのですが、私が個人的に最も強く感じたことは、日本ってなんでこんな国に――誰かを槍玉に挙げ感情的に糾弾する声ばかりが目立つ、国になってしまったんでしょうか。


日本人にも韓国人にも、最低なヤツはいるし、最高の友人はいる


國村さんは、古くはリドリー・スコットの『ブラック・レイン』から、現在撮影中の戦争大作『Midway』まで、ハリウッドでもその存在を知られる俳優さんです。2年前に出演した韓国映画『哭声/コクソン』では、韓国を代表する映画賞「青竜映画賞」で主演男優賞などを獲得。その人気を受けて、今回の釜山映画祭でも審査員として招待されていました。厳しい実力社会の韓国映画界で、もしかしたら日本以上に、スター俳優としての存在を認められている人です。
そういう状況の中で、「韓国がなんと言おうと無関係、海自が正しい」なんて言えると思います? いやいや、國村さんが気を使って心にもないことを言った、という意味ではありません。多くの観客に愛され尊敬され、仕事仲間や友人も多い――そういう人間的なつながりがあれば、政治信条はさておき、ひとまとめに「だから韓国人は嫌い」とか、「韓国人が何と言おうと関係ない」なんて言う気になれないのは、人間として当然じゃないかってことです。日本人はそういう心情を、どの国民より理解する国民だと思っていたのに。

映画祭という場で、彼の出演作とは全く無関係の政治の質問することないじゃないのよという思いは、私にももちろんあります。でもそれは韓国側がどうにかすべき問題。実際に韓国内には質問した記者を非難し、國村さんを心配する声も多いようです。一方、日本にも國村さんを脊髄反射的にヘイト攻撃する人がいる。そういう人たちが、國村さんが俳優として海外で称賛されるような時には、「やっぱり日本の俳優はすごい」と無邪気に言いそうで、なんだかほんとにモヤモヤします。

こちらの海岸には、例年、ステージや、映画会社、協賛企業のブース、ミーティングポイントなどがありますが、今年は台風でほとんど撤去されてました。

そもそもお隣さんといがみあってばかりいて何の得が?と、単純に思います。マンションだったら引っ越せるけど、国はどうしたって引っ越せない。お前が先に殴った!何度も蒸し返すな!とやり合い、相手の一挙手一投足に憎しみ募らせるなんて、これ以上不毛でくたびれることはありません。国家レベルの問題は議論を戦わせるべきだけれど、両国の政治や一部のマスコミなどは国民感情を煽って利用しているようにも思えます。顔を合わせて話してみたら、一人一人は悪い人じゃない――ってことがわかるためにも、両国の多くの人に、顔を合わせてみてほしいんだけどなあ。

ということで来年は、ぜひみなさんも釜山映画祭へ。楽しくて美味しくて、誰もが気軽に参加でき、一度来ればきっとまた来たくなる。絶対おすすめの映画祭です。

オープンシネマという屋外上映の会場。雨よけの天蓋が全面LEDで、いろんなビジョンが写せるのです。通常はご覧のように虹色がうねうね動いています。
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会社で家庭で学校で、なんだかモヤモヤしている方、ストレス発散に共に吠えたい方、生の私がどんだけチビっ子かその目で直に確認したいという奇特な方などなど、お時間ありましたら、是非、ご参加下さいませー。



どうぞよろしくお願いいたします。