昭和初期から平成までを舞台に、落語家たちの人生を陰影豊かに描き出す、雲田はるこのコミック。アニメ版も熱狂的なファンを生んだ作品が、ついにドラマ化されました。クールなたたずまいの名落語家、八雲を演じるのは岡田将生さん。今年8月のクランクインの前の4月ごろから落語家の柳家喬太郎さんのもとで稽古を重ねて撮影に入ったといいます。

岡田将生 1989年8月15日生まれ、東京都出身。AB型。ドラマ『生徒諸君!』『花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~』でブレイク。その後もドラマ『オトメン(乙男)~夏~』、舞台『ニンゲン御破算』、映画『僕の初恋をキミに捧ぐ』など、イケメンからコミカルな役まで幅広く演じ活躍する。出演映画『銀魂2 掟は破るためにこそある』も公開中。



初めての「落語」
大名人を演じるプレッシャー


「落語という自分には縁のなかった世界を知って、今はかなりハマっています。『昭和元禄落語心中』は人生と落語がつながりあっていく物語であり、八雲が自分の落語を見つけるための戦いを描く物語でもある。だからこそ落語のシーンをしっかり演じなければという、覚悟とプレッシャーがありました。でも稽古のときに柳家喬太郎師匠が目の前で僕のために、ドラマでも大きな意味を持つ『死神』をやってくれたときはこんなにありがたくて贅沢なことはないと思いました。この空間は自分だけのもので見逃しちゃいけないし、学ばないといけない、という気持ちになりました。稽古をするなかで、喬太郎師匠が僕の『品川心中』を面白いと感じてくれたようで、“触発されて寄席でやったよ”と聞いたときには、やった~!と思いました(笑)。落語家さんは普段の話も上手なので、僕もそうならなければ、という反省もありました(笑)」



ライバルであり、支え合う
八雲と助六の関係とは


時を同じくして落語の世界に入った天才の助六と、彼への憧れや嫉妬を抱きながら自分の芸を摸索していく八雲。ふたりにしかわかちあえない複雑な感情と友情が、この物語に観る者の胸をざわめかせる奥行きを与えています。

「お互いが高め合っていても、どちらかひとりが嫉妬を抱くと関係が変わっていくことってありますよね。僕もこの世界にいて、同じものを持っているのになぜあの人だけが…とか、僕の方が…。と思うこともあるので、八雲の気持ちはよく理解できました。助六は八雲のそういう思いを受け止めてくれる、懐の深い人。彼との出会いがこの話のはじまりですし、助六と八雲は切っても切れない仲なんです。助六との別れも描かれているのですが、そのシーンを演じるときには胸がしめつけられるとはこういうことなのか、という感覚になって。僕自身は人見知りで共演者の方と最初はあまり話せないほうですし、今回は落語の稽古があるからさらに余裕がなかったんです。でも助六を演じている山崎育三郎さん、弟子の与太郎役の竜星涼さんと少しずつ仲良くなっていくうちに、現場でも自然体でいられるようになりました。その過程を八雲という役に重ねあわせながら、人は誰かに支えられながら生きていくものなんだな、と思えたんです」


三角関係の切ない恋愛も
八雲という人物を描くドラマの見どころ


八雲に思いを寄せて献身的に支えながら、やがて助六の妻となった芸者のみよ吉も、物語の鍵を握る存在。謎の死を遂げた助六とみよ吉の最期をめぐるミステリーと、八雲が引き取ったふたりの遺児、小夏との確執も描かれていきます。

「人に心を許さない八雲がはじめてといっていいくらい心を許した相手が、みよ吉なんです。ともに人生を歩みたいと思っていた彼女との出会いと別れは、ひとりの人間としても落語家としても大きなターニングポイント。みよ吉は弱っている八雲を母のように理解して包み込んだかと思えば、時には匂い立つような色気を醸し出したりもする。女性としての魅力や武器を、たくさん持っている人です。一方の八雲は業が深くて、愛に飢え、愛を探し求めている人で、すべてをさらけ出すわけではないからこその色気がある人。人生の儚さを象徴するようなふたりの関係を描くシーンは、落語に興味がない人の心にも届くのではないかと思います」


青年時代から老年まで
“美しさ”に徹底的にこだわった役づくり


若き日から70代までを演じ、年代ごとに異なる魅力を放つ八雲の端正なルックスには、神々しいという声が寄せられているほど。自身の美しさに無自覚で、だからこそ数々の作品で幅広い役柄を演じてわけてきた印象のある岡田さん。今回のドラマでは、これまでとは違うアプローチを試みていると教えてくれました。

「日本舞踊の動きを参考にして着物での立ち居振る舞いを身につけ、日常的に扇子を手にして細かい所作や仕草も大事にしています。タナダユキ監督とは、映画『四十九日のレシピ』以来2度目。ひとつひとつのセリフを疎かにせず、連続ドラマでキャラクターを深く掘り下げていく過程はすごく楽しいです。今回特に意識しているのは、品があってきれいに見えるようにしたい、ということ。こんなにモニターチェックをするのは久しぶりですし、久しぶりにストレートパーマをかけました(笑)。ドラマのベースとなるのは一番は台本ですが、シーンによってはいつも手元にある漫画のカットを見て確認することもあります。原作やアニメのファンの方を裏切りたくないという思いとともに、生身の人間がやるからこその面白さも感じていただけたら、という思いで演じています」

<ドラマ情報>

ドラマ10『昭和元禄落語心中』は、10月12日(金)夜10時より(毎週金曜夜10:00-10:44 ※初回のみ10:00-11:10、NHK総合)全10話放映
見どころは役者陣によるそれぞれの落語シーン。
同じ演目の語り方も年代ごとに変わっていくそう。
助六と八雲が落語の世界に入門するのは昭和10年。日本は戦争へと突入し、いくつかの演目が「禁演落語」となる。

今回インタビューした岡田将生さんが昭和最後の落語の大名人・八雲を演じるドラマ10『昭和元禄落語心中』は、10月12日(金)夜10時より(毎週金曜夜10:00-10:44 ※初回のみ10:00-11:10、NHK総合)全10話で放映スタート!
原作は、累計200万部を突破した雲田はるこの同名漫画。数々の漫画賞を受賞。アニメ化もされ、熱狂的なファンをもつ。

昭和の落語界を舞台に、岡田将生さんが演じる主人公の八代目有楽亭八雲を始め、八代目有楽亭八雲の弟子・与太郎を竜星涼さん、八雲と同期入門の天才落語家・助六を山崎育三郎さんが演じ、恋愛とミステリー要素も含みながら、落語の世界に身を投じた人々の生き様が描かれます。

【放送予定】
2018年10月12日(金)スタート
総合 毎週金曜 よる10時から10時44分(連続10回)

【原作】雲田はるこ「昭和元禄落語心中」
【脚本】羽原大介(映画「フラガール」、連続テレビ小説「マッサン」など)
【音楽】村松崇継(映画「メアリと魔女の花」、「8年越しの花嫁 奇跡の実話」など)
【主題歌】ゆず「マボロシ」
【落語監修】柳家喬太郎
【制作統括】藤尾隆(テレパック) 小林大児(NHKエンタープライズ) 出水有三(NHK)
【演出】タナダユキ 清弘誠 小林達夫

 
 

<原作>

雲田はるこ 著 講談社 ¥563(税別)

昭和落語界を舞台にした大ヒット漫画


昭和最後の大名人・有楽亭八雲に、押しかけ弟子入り志願した元チンピラ・与太郎。内弟子など一切取らぬはずの八雲が、何のきまぐれか与太郎を受け入れることに……。
そこから始まる、夭逝した伝説の天才落語家・助六と、彼の影を追いながら一人落語界に残された八雲の、知られざる因縁噺とは――!?


撮影/横山順子
取材・文/細谷美香
構成/川端里恵(編集部)