小泉今日子、鈴木京香、沢尻エリカ、壇蜜、山田優、前田敦子、シャーロット・ケイト・フォックス、広瀬アリス…。8人の豪華女優陣が競演する映画が話題です。

©2018「食べる女」倶楽部


『おいしいゴハンと愛しいセックス』をテーマにしたこちらの作品。一見センセーショナルなようでいて、見終わった後なんとも温かく優しい気持ちになります。原作、脚本、プロデュースを手がけた筒井ともみ氏が作品に込めた思いとは? それらが9月12日発売になったばかりの新刊に綴られていました。

筒井ともみ 東京都出身。成城大学卒業後、スタジオミュージシャン(ヴァイオリン)を経て、脚本家となる。テレビドラマ『響子』『小石川の家』で向田邦子賞を受賞。他のドラマ作品に『家族ゲーム』『センセイの鞄』『夏目家の食卓』などがある。映画も多数手がけ、『それから』でキネマ旬報脚本賞、『失楽園』で日本アカデミー賞優秀脚本賞、『阿修羅のごとく』で日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞。『ベロニカは死ぬことにした』では、脚本のほかプロデューサーもつとめた。また作家としては、エッセイ『舌の記憶』『着る女』『おいしい庭』のほか、小説『月影の市』『女優』『旅する女』などの作品がある。2007年〜16年には東京芸術大学・大学院映像研究科教授として、脚本コースのゼミを担当。この秋、エッセイと食のレシピ本『』(講談社より9月12日刊行)、児童書『いいね!』(ヨシタケ・シンスケ画/あすなろ書房より11月下旬刊行)の発売を控える。

 


ココカラハジメヨウ

毎朝、窓をあけて天気をたしかめるのが好き。晴れでも曇りでも。雨が降っていても風吹く日でも、私は楽しくなる。どの天気もそれぞれに好きだから。
洗濯をするなら晴天がうれしいけれど、毎日晴れてばかりではつまらない。どんより曇った日には窓辺に佇(たたず)み、ベッドルームの窓から見はるかす新宿の街並みに目をやる。くっきり輝く高層ビル群もキレイだが、霞んだような都市のカタチもわるくない。雨の日には樹木が放つなまめかしい葉緑素の匂いを嗅ぎ、風吹く日には樹々のざわめきを聴く。
私は欲ばりだから、どんな天気でも楽しみたくて、その日の天気に身も心もあずけて味わってしまう。
人生だって、同じだと思う。楽しいばかりじゃ味気ない。淋しさや口惜しさや切なさがあってこそ、とっておきの「幸せ」に気づき、愛(いと)おしむことができるのだから。

もう10年以上前に書いた短編集が、ようやく映画になりました。そうなるまでの道のりは、決して簡単ではなかった。
現在(いま)の日本映画界は「分かりやすさ」ばかりが大事にされる。分かりやすくないものは観客には伝わらず、敬遠されるだろうから、ダメ。でも本当にそうなのかな? それは映画界だけのことではないけれど。
人生って、そんなに分かりやすいだけのものじゃない。割りきれないものや結果が出ないことだっていっぱいある。
女たちはそのことを知っている。自分の心と体を通して、淋しさも口惜しさも切なさも、充分なくらい感じている。
だからもう、分かりやすいだけの人生のプログラムなんかに惑わされたりせず、あなたらしい幸せをみつけよう。

「いとしい人がそばにいて
 おいしいごはんがあって
 たわいないことで笑っている」

そんなシンプルな幸せでもいい。みんなと同じじゃなくても、みんなに分かってもらえなくても、いいじゃないか。誰のものでもないあなたの人生なのだから。
そして、いとしい誰かといつか出会えますように。
出会えた人には、おいしい日々が、いつまでもいつまでもつづきますように。

欲ばりで淋しがりやで食いしんぼうな女たちに、この一冊が、ささやかな勇気と作戦(アイディア)をとどけることができたら、とてもうれしく思います。ワーイ!

2018年9月 筒井ともみ   
(『いとしい人と、おいしい食卓 「食べる女」のレシピ46』より)
  



いかがでしたか? 次週は筒井ともみさんのインタビューを掲載します。お楽しみに!
 

<イベント告知>
映画『食べる女』公開記念
おいしいレシピとおいしいトーク

①書籍『いとしい人と、おいしい食卓 「食べる女」のレシピ46』付イベント参加券(税込1,620円)もしくは、②書籍『食べる女』付イベント参加券(税込680円)を購入すると、筒井ともみさんのトークイベントに参加できます。めったに登壇しない筒井ともみさんの肉声を聞けるチャンス!ぜひふるってご参加ください!

日程:2018年9月20日(木) 19:30~20:30(開場19:15)
場所:二子玉川 蔦屋家電 2階 ダイニング
定員:30名

 

 

<新刊紹介>

筒井 ともみ 著 ¥1500(税別) 講談社

9月21日に公開される映画の原作、脚本、プロデュースを手がけた作家の筒井ともみさんが、映画の公開を記念して映画に登場する料理を含むとっておきのレシピを紹介。すべての年代の女たちへの愛情溢れる珠玉のエッセイもあり。食べることと愛すること。これを読めば、筒井さんが映画を通じてどうしても伝えたかったメッセージがきっと分かるはず。各界の食通をその手料理で長年唸らせてきた筒井さんがはじめてそのレシピを公開したことでも
注目される一冊。これさえあれば一生食べて(生きて)いける!

撮影/ワタナベセイ 構成/川良咲子(編集部)